今月の「諸君!」に二人の識者の論評が載っている件。二人目は浅羽道明

浅羽氏は、ぼくちん未読ながら右翼と左翼 (幻冬舎新書)なんて本を書いておらられる方で、たぶん敵に回すとそれなりに手ごわい論客なのだろうなと思っていたが、予想的中w

で、タイトルが「共産党に入るキミ達へ せめて、これくらい読んどけよ」なる必文献ガイド...同時に今の共産党含む左翼一般に欠けている革命家の心得を説く内容だ。

まず蟹工船ブームを共産主義思想復活と捉える人たちを、大衆消費社会の気まぐれに対する畏れを知らないと断じた後、浅羽氏は戦前の日本共産党をロマン・ノワール(馳星周の小説のような悪漢ロマン)と規定し、「党生活者」や日本共産党史を「闇のドラマに手に汗握る」ものとする。

そこから学べることとして、マルクス主義革命国家の権威と、いわゆる殉教者が多かったことが共産党に対する畏敬を生んだとする。政治倫理を語る上で必須の「成果」などなかったというのだ。

実際、その通りで、戦後の日本共産党は能力がない割にインテリから高く評価されていたのは確か。そんな問題意識の中、浅羽は、ミヤケン体制を擁護する。

なぜなら、「共産党が(創価学会と並んで)自民党にも社会党にも不満な三百万票の政治的受け皿を提供し、清く正しく利他的でありたい四十万人へ、心地よい居場所を保証した」点と、古き良き時代の倫理観が破壊されて行く中、「奇妙な魅惑」を維持してきたことを評価する。

そして60年代以降の長期低落傾向について当blogでもさんざ論じられてきた党改革について「可能ならとうの昔に」やっていたとして、変えられないと党体質のおかげて疲弊する党員に、党の言うことを聞かずに「やりすごす」ことを提言する。....共産党内の革命期に備えて、左翼的に言えば日和見主義者であるタレイランやフーシェたれというわけだ。

確かにそうかもしれないというか、実際その方が上手に生きられると何度も思い知らされているぼくちんwなのだが、ひとつだけ感想を述べると、「」について語るなら「」についても語って欲しかった。

成りゆきとして「おい地獄さ行ぐんだで!」ではなく、自ら地獄に飛び込む「おい地獄さ行ぐんだで!」という呼びかけ....そこまで踏み込まないのは本人の意思か、月刊総合誌の限界かはわからない。

なーんて書いて、分かる方はここの常連除けばあんまり見ないなぁ……。地獄を意識しない日和見左翼ブロガーは腐るほど見るけど....w