SATOたんのおすすめ
一知半解の「アメリカ帝国主義の本質」はいいから、まず「中国共産党の本質」をちゃんと科学的に理解しろよ、ということで、現代中国に関して、学術書なのにめちゃくちゃ面白い本を見つけましたので、ここで紹介させてください。
 その一冊は、中兼 和津次 東大名誉教授(現代中国経済研究)の「毛沢東論—真理は天から降ってくる(名古屋大学出版会)」です。
毛沢東論―真理は天から降ってくる―
中兼 和津次
名古屋大学出版会
2021-05-10

 
 毛沢東が自分のことを「マルクス+始皇帝」と称していた、という髭の大先生(マルクス)が聞いたら、「俺と始皇帝にいったいどんな共通点があるんだ?」と腰を抜かすような事実の紹介から始まるのだから、これが面白くないわけがない。
 毛沢東の行動原理は「無法無天」であって、実際、スターリン批判後の「百花斉放百家争鳴(1956〜7年)」でいったん、言論の自由を大幅に認めておきながら、批判が大きくなると、一転して「反右派闘争(1957年)」による知識人狩りを始め、「これは陰謀ではないか」という抗議に対して「いや、陽謀だ」と答えたとか、党内で反対が多くなると、「もう一度、井崗山に行って革命をやり直す」とか言い出して我意をおし通すとか、焚書坑儒の始皇帝もビックリの無茶苦茶なエピソードが満載なんですよ。
 もちろん、ロシアには「マルクス+イヴァン雷帝」という先輩(スターリン)もいたことからすれば、決して意外なことではないのでしょうが、習近平が「毛沢東�え朕�2」を目指して奮闘中(?)の今現在、毛沢東とはどんな国家指導者だったのかを改めて確認しておくのに最適な本だと思います。装幀もよくできていますので、皆様もぜひ一度お読みになってください。

(参考として、読売新聞電子版 2021/06/27 の国分良成 前防大校長の書評もあげておきます)