東京外国語大学教授 篠田英朗たん

安保法制懇を通じて、安保法制成立の基盤となったのは、国際政治学者や国際法学者たちであった。日本学術会議でのプレゼンスが小さい層だ。これに対して、日本学術会議では、安保法制に反対した法学者の方々の比率が大きい。中でも相当数が民主主義科学者協会法律部会(以下「民科」と記す)という共産党系の組織に属する方々である

210人の日本学術会議会員は3部に分かれ、人文・社会科学系の会員は70人枠の第1部に属する。その中で法学者は例年2割の15人程度を占める。その法学者の3分の1(以上)の4〜7人が「民科」に属する者であるのが通例である。

こうした伝統と構成を持つ日本学術会議が、2015年の安保法制をめぐる喧騒後に、「1950年声明」の伝統に訴える運動を起こしたのは、むしろ必然的であった。なお今回、3人の「民科」の法学者が会員任命を拒否されたので、上記の比率は、法学者11人に、公開情報で確認できる限りでは「民科」枠は1人に、激減となった。