昔話を今語る氏のコメント
いつの時代も青年の政治参加のカギを握るのは、学習である。いわゆるマルクス主義の古典である必要はない。世の中の出来事を真剣に考えている社会科学者や自然科学者の書物を読み、それを正確に理解しながら(肯定的理解)、その書物の中に、それを乗り越える契機を見出す(否定的理解)。そのような学習をすることである。マルクスもそのような学習を積み重ねたにちがいない。全国的規模の会議を呼びかけた方々も、そこに集まった方々も、新鮮な発想に基づき、柔軟な対応と指導に努めていただきたい。それは、30年余り前に上田耕一郎が呼びかけた方針でもある。その方針こそ、閉塞状況を打破して活路を見出すための、今なお有効な唯一の方途である。会議に参加された方々には、30年先、50年先を見据えた実践してほしい。
この意見は、青年のための助言として非のうちどころのない意見だと思う。しかし、同氏の願望は、残念ながら願望で終わるだろう。だって今の価値観の変化を日本共産党は全く知らないから。
ここに挙げた2冊に書いてあることは、昭和に支配的で平成に揺らいだ価値観の否定である。たとえば昭和の価値観を「問題解決」と規定すれば、これらの本に書いてあることは「問題をみつける」ことだとする。要するにこれまでとは全く違う視座で世の中を見ないと我々は流行遅れになると言われているわけですね。
これら2冊の本の著者である山口氏の主張を肯定しても否定してもかまわないが、旧来の価値観のままでいてはいけないという主張はその通りだと思う。実際、今イケているといわれる経営者で、この方の本に注目している人は少なからずいる。元ZOZOの前澤さんなんかも無意識にこのへんを意識していたからこそアートを集め出したと思う。
で、問題は、多くの日本共産党員が、この手の本を読んだりしないこと。 くり返すが、これらの本の内容を否定してもいい。いいんだけど、これに代わる価値観を主張するなら、少なくともこれくらいは読んでおかないと敵の能力が見えない。敵の実像を見なくても勝てるのは圧倒的に優位な立場にいるものだけだ。共産党にそんな人はいない。
そんなわけで、昔話を今語る氏の願望は実現望み薄のように思える。