カストロ 上
セルジュ ラフィ
原書房
2017-11-28

カストロ 下
セルジュ ラフィ
原書房
2017-11-28


2015年の改訂版(初版は2003年刊行)。本書は、fidele(忠実)ではないフィデル・カストロについて、幼少期から青年期、キューバ革命、独裁者として、伝記、ルポルタージュ、小説、歴史、すべての要素をふくみ、詳細に描いている。

本書は、フィデル・カストロという迷路をたどる長い旅の結実である。何本かの光線が射しているものの、影の部分があちらこちらに残る迷路であった。
わたしが進む道に立ちふさがった数多くの障害のうち、もっとも大きいものの一つはまちがいなくカストロのファーストネーム、フィデルであった。「フィデル[忠実、誠実な人を意味する]」という名前は罠である。しかし、フィデル・カストロは家族への情愛とは無縁の男だった。誠実な男ともよべない。
彼が一度も信念にそむかず、ぐらつきもせず、嘘もつかなかったのは唯一、自身の栄光をしゃにむに守る闘いにおいてであった。  ―――本書「はじめに」より 

ということで、もともと書かれていたのを改訂して出された本のようである。カストロを同世代の仲間だと思っていた不破哲三は絶対に読むだろうが、日本共産党員でこんな大著を読める人はどれだけいるかなw?
たぶん吉良よし子には無理だろうw

内容的には、カストロの暗黒面に焦点を当てた本らしい。日本で出されるキューバ革命の本はゲバラに焦点を当てたものが多いせいか、わりと好意的にキューバを描いている本が多い。そんな本で作られてきているキューバ革命のイメージも比較的良好だと思うが、革命の暗黒面もこの本には書かれているのだろう。