もりもりジャーナル
街頭演説で人質事件に触れたのはいいが・・
後藤さんのお母さんが先日、記者会見を行いました。憔悴(しょうすい)しきった表情。「(息子の)命を救ってください」と声を振り絞り、続けてこう訴えられました。

「建二はイスラム国の敵ではない」「日本は戦争しないと憲法9条に誓った国です。70年間戦争をしていません」

――このお母さんの訴えこそ、日本人の命を救うために、いま一番必要な「イスラム国」へのメッセージだと思いました。日本政府は、この立場で、あらゆる手段と可能性を追求して解放のために力を尽くしてほしい。彼らに代わる命はないのですから。

なぜいまそういう発言ができるのか。本気で救出する気があるのかと、疑いたくなります。いまこの瞬間に必要なことは、何よりも日本人解放にむけた外交努力です。集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の後、記者会見で「国民の命を守る」と強調した安倍首相。どんな思惑があったにせよ、その言葉をいまこそ思い出してほしい。

 
そもそもお母さんの旦那さんが「今、家内は頭が混乱している」と言っているくらいなので、これを突っ込むのはよくない。ましてや、この発言に乗っかかるのは、いったい何を考えているんだと疑われるレベル。

ところで本気で救出するのに、ボクちんの知る最もドラマチックなのは、イラン革命の時に社員2名が捕まって、政府も何もできないんでだったら俺がやるとばかりに社長が傭兵雇って救出部隊を派遣して実際救ってきたというEDSのロス・ペロー。これはケン・フォレットがドキュメンタリーを書き、映画化もされた実話である。こんな選択肢を採れとは言わないが、まるっきり排除するのも問題だよ。
鷲の翼に乗って (上) (集英社文庫)
ケン・フォレット
集英社
1986-03