何度も全文引用している共産党系の弁護士さんのIK改憲情報を今回も全文掲載。
もうね、そこまでわかっているなら共産党なんかやめたらいいのにと思ふw
ちなみに某所で川内弁護士は、こうのたまったそうである。
1000人委員会を含め、日本の左翼の軍事認識は狂ってる! ステレオタイプな自衛隊観、中国の現実的脅威のスルーなど、国民に見放されかねない状況だ」

IK改憲重要情報(41)[2014年3月5日]

 

 私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信します。(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自由です。)

   

弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策

 

連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所

(電話03-6914-3844,FAX03-6914-3884)

 

 弁護士アピールを支持する市民の会

 http://2010ken.la.coocan.jp/kaiken-soshi/

 

 

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 集団的自衛権と自衛隊

 

 私は「IK改憲重要情報(38)」で、日本の民衆運動は、集団的自衛権反対の論理をもっとつめる必要があるのではないか、という問題提起をさせていただきました。そして、法学的反対論やいつか来た道的反論だけでなく、国際政治的反対論ももっと国民にアピールしていくべきだ、という私の考えを述べさせていただきました。

 集団的自衛権という問題は、いろいろな反対論があって当然の問題です。たとえば、上記反対論以外にも軍事的反対論がありうると思います。私は、軍事の分野が不得手なのですが、以下、私見を書いてみます。問題点、不十分な点を読者の皆様にご指摘いただければと思います。

 

 私は、まず最初に自衛隊とは何か、について考えなければならないと思います。平和運動の経歴の長い方は、分かりきっていると思われるかも知りませんが、平和運動の世代交代の問題と関連して、意外とこの点が不明確になっていると思うのです。自衛隊問題が米軍問題と異なって、戦後の平和運動の弱点の一つで、国民に対するアピールも不十分であったことも間違いありません。

 

 自衛隊は、災害救助やPKOへの参加が中心的任務ではありません。自衛隊は戦争をする軍隊なのです。更に言えば、自衛隊は、米軍に従属した、米軍の補完部隊です。 

 自衛隊という組織が米軍という組織に従属していることを証明することは簡単ではありません。日本が米軍に従属していることの根拠としてよくいわれる日米地位協定も、自衛隊と米軍の関係については触れていないのです。1997年の「日米防衛協力のための指針」を読んでも、「協力」とか「共同」などのきれいな言葉が並んでいるだけで、本当のことは分かりません。自衛隊の次期戦闘機をめぐる1980年代のFSX摩擦などの個別の従属事例を積み上げるしかないようにも見えます。

 ところが、不勉強な私の目にとんでもない情報が飛び込んできました。

 実は、現在の「日米地位協定」の前身の「日米行政協定」の締結交渉の過程において(1952年のようです)、アメリカは、有事の際には日米が統合司令部を設置し、米国政府の指名する最高司令官の下で共同行動をとるという案を考えていました。ところが、日本政府の猛烈な抵抗に遭い、この条項は明文化されず、そのかわりに吉田首相とマーフィー駐日大使、クラーク極東軍司令官との間で、有事の際には統合司令部を設置するという密約が交わされた、というのです。

 このことは米国で情報公開されており間違いない事実と判断されますので、日本の自衛隊が米軍に従属していることの第一級の証拠といえると思います。

 このことについては、楠綾子氏の「吉田茂と日米同盟の形成」で教えていただきました。

http://www.nids.go.jp/event/other/just/pdf/05.pdf

 

 私は、上記の事実と並んで、自衛隊が米軍の補完部隊であることが、自衛隊の従属性を基礎づけていると思います。自衛隊が米軍に従属しているからこそ、自己完結的でない、補完部隊なのです。

 自衛隊が補完部隊であることは、日米両政府も認めています。2005年10月29日に合意された在日米軍再編の中間報告「日米同盟:未来のための変革と再編」は次のように述べているのです。

 

「アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスは、

地域の平和と安全にとって不可欠であり、かつ、日米両国にとって決定的に重要な中核的能力である。日本は、自らの防衛について主導的な役割を果たしつつ、米軍によって提供される能力に対して追加的かつ補完的能力を提供する。」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html

 

 自衛隊が実際に米軍の補完部隊であることは、様々な軍事評論家が論じています。最近私が読んだ本の中では、ちょっと古いですが、井上和彦『そのとき自衛隊は戦えるか』扶桑社 がお勧めです。

ここでは、ネットで比較的手軽に手に入る小川和久

氏の見解を見てみましょう。

 

「実は自衛隊は、軍隊としての本当の実力を表す世界ランキングには入れない特殊な構造です。たとえれば、水泳だけはトップクラスだけれど、自転車もマラソンンも苦手なトライアスロンの選手みたいなものなんです。」

「自衛隊は三つの能力だけが突出しているのです。海上自衛隊の対潜水艦戦闘(ASW)能力。航空自衛隊の防空戦闘能力は、F15など400機近い戦闘機や空中警戒管制機(AWACS)があり、世界3 4位でしょう。ほかに海自の機雷を除去する掃海能力も高い。それ以外は並みの能力か、あるいは能力自体が欠如しているのです。」

「『戦力投射(パワープロジェクション)』という言葉があります。国家としての戦力投射能力とは、核武装していない場合でも『数十万人規模の軍隊を海を越えて上陸させ、敵国を占領し、戦争目的を達成できる戦力』とされる。必要なら敵国を攻めることができる能力です。自衛隊にはこの能力が全くありません。日本の再軍備にあたって、米国が望まなかったからです。自衛隊は米国の軍事戦略の一角を担う形で位置づけられており、そもそも自立できない軍事力なのです。」

 小川氏の見解は2007年時点のもので注意が必要ですが、基本的には現時点でも妥当すると思います。

http://blog.goo.ne.jp/muenchen16/e/d00b685ce885efb63339653a718f66ec

 

 安倍首相は、集団的自衛権の問題を急がなければならない理由として、本年末の日米ガイドラインの改定をあげています。この日米ガイドラインは、当然にアメリカの中国軍を意識したエア・シー・バトル戦略を前提にしたものとなるでしょう(エア・シー・バトル戦略については「IK改憲重要情報(6)」「IK改憲重要情報(40)」参照)。また、日本の自衛隊が日本の防衛に主導的役割を果たすことは1997年の日米ガイドラインですでに確定しているので、おそらくは、日本の領海・領空・領土以外の領域での自衛隊の役割に大きな焦点が合わせられることになるでしょう。

 

 日本が集団的自衛権を行使する道に踏み込むことは「自衛隊の米軍の下請け化を招く」「自衛隊が米軍の番兵になる」という批判があります。これらの批判の論理は間違いではないと思いますが、不十分ではないでしょうか。これらの論理では、現在、すでに米軍の下請け的存在や番兵になっていることが、ややもすると看過されるからです。また、アメリカに対する従属は変わらないとはいえ、日本の位置が微妙に変化するであろうことが見逃される危険性があります。

 私は、日本が集団的自衛権の行使を認める道に踏み出すことは、自衛隊の米軍にたいする補完機能を強化するものだと思います。それは、アメリカにとっては、アメリカのアジア支配のために自衛隊の使い勝手が一層良くなると言うことであり、日本にとっては、より高く自分の存在を売りつけ、アジアにおける自分の位置・独自性を高めることにつながると思います。

 

 以上、思い切って書いてみました。皆様の議論の一助になれば幸いです。