「当事者」の時代 (光文社新書)
「当事者」の時代 (光文社新書)
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大著である。でも他にする仕事もあるのに一気に読んでしまった・・・読みごたえがあるので疲れたw

電子書籍なら500円しないし、著者本人が買った人がコピーしてタダで配ってもかまわないと宣言する、きわめてラジカルというか政治的なマーケティングが行われている。もっともここで言う政治的とは右左ではなく、既存マスコミとネットメディアとか、紙の本対電子書籍みたいな対立構図のこと。

弱者の味方でいる自分は正義だと勘違いする人たちが、いかにして出現してきたかの通史と言っていいと思う。

著者が新聞記者時代やっていたサツ回りから入って、ソーシャルメディアの性格の違いを「友愛」「情報」VS「広場」「フィード」で解説していく第一章は、「この人はこれから何を見せようとしているのか」と著者の意図をはかりかねたのだが、2章あたりからどこに向かおうとしているのかが見えてくる。

そう、左翼とマスコミのかかえる問題がテーマになってくるわけだ。
左翼とマスコミのかかえる問題と書くと、当blog読者周辺では「またか」となるだろうが、通史は読んだことありますか?この本は「ダメになっていく過程の通史」です。趣味者でも読めば案外見落としていたことがわかるかも知れません。

も一つ感想。共産党ネタはわずかしか書かれていない。しかし、全部読めば、しんぶん赤旗はこの本で俎上にあげられるメディアの問題点を一般紙以上に、極端なまでに持っていると確信させられるw
ただ、同時に当blogでもよく触れる紙面改革が、我々が思っているより容易ではないこともグサリと指摘されている。そのキーワードになるのが「当事者」なのだ。

でも、この本、真価が見えるのは40歳以上ではないかな?20代、30代では趣味者でもない限り80年代以前の雰囲気は感じにくいだろうと思う。なぜなら現代史を勉強していないからだ。40代以上の者は、勉強するまでもなくリアルタイムで見ていたからその点ラクに読める。

そんなわけで、
平易に書いてはあるのだけど、描かれている時代を生きたバックグラウンドが読者の側にないと案外手ごわい本に見えるかも知れないね。でも、若い人はそこを突破しないといけない。

というわけで、ブラウンくんには、購入を命ずるw!