産経新聞
「赤旗」値上げ 共産党の無謀な“挑戦”はいかに…「純増」といっても数字のトリック?」
前半は良い記事だ。しかし後半はいけない。
共産党広報部によると、値上げが公表された7月は党内で危機感が広がったことでプラスに作用して850部増え、8月は131部の減、9月は105部の減だった。意外なことに「値上げ決定以降の3カ月間のトータルで614部の純増となった」というのだ。
同党広報部は“値上げ効果”をこう強調する。
「党員の勧誘ではなく、若い人を中心に直接購読を申し込んでくる人が多いのが顕著な傾向だ。一般紙の偏った内容にへきへきした層が赤旗を手にとるようになっており、公正な政治報道への関心が高まっている証しだ。赤旗の読者は今後も着実に増えていくと確信している」
若いのが積極的に申し込んでいるというのは、広報部の嘘だと思うが、もしそうした事実があるとするなら、若い入党者に必ず日刊紙の赤旗を読むようにと念には念を押しているから。
無謀ともみられた共産党の赤旗の500円値上げの「挑戦」の滑り出しは上々ということらしい。
共産党議員のベテラン秘書も「いまや赤旗は自民党で人気の新聞だ。正攻法で政府・与党を追及する姿勢が評価され、野党の国会戦略の虎の巻になっている」と自画自賛する。
ベテラン秘書は本当にベテランか?他政党の連中が共産党の動向を知るために赤旗を購読するなど当然のこと。むしろ熱心な人ほど読んでいた。しかし近年の赤旗の紙面の劣化は著しい。むしろ、「これなら読まなくていいか」と思って購読停止する人が多いのではないか?ただですら役所の人間がとる「つきあい購読」も減少しているのだぞ!
とはいえ、共産党広報部が示した「純増614部」の数字をそのまま受け止めるわけにはいかないだろう。
打ち明けるのは、この巧妙な「数字のトリック」を知る同党関係者だ。
「実は7月に850部増えたと言っても、値上げ対象外の赤旗日曜版(月間購読料800円)は6月に約5千部減り、7月にも1300部近く減っている。実態は日刊紙の数字を増やすために日曜版を切り替えさせているのであって、財政的にはプラスになっていない」
共産党広報部のいうことを鵜呑みにしない姿勢は正しい。しかし「切り替えさせている」なんてあり得ない。なんで日曜版月800で済んでいた人が月3400円の新聞への切り替えに応ずるのだ?スポーツ紙10円値上げで部数激減のご時世だと自分で言っておいてこれはない。
正確には日刊紙の拡販に集中しすぎで日曜版の拡販まで手が回らないのが実態。そして赤旗はつい合い購読が多いから、決算の12月や転勤が多い4月にドカンと減るのがいつものバターン。
よって第一関門の1月、次に翌年の四月に部数がどうなるかがポイントだ。
ま、それでも当初見込みより党組織が相当頑張っているのは事実。しかし、半年も持たないだろう。