日本共産党は、これまで多くの離党者、除名者、除籍者を出してきた。その量がいかほどのものかは共産党本部にしか知りえないことだが、ウォッチしていると興味深いことに気がつく。こうした元共産党員たちの主張には、党を心底憎んでいるような意思を感じることだ。

他政党でも、離党者は数多くいるだろう。詳しくはわからないが、除名、除籍もそれなりにあるだろう。しかし、他党は離党者なら、党の考えを支持できなくなったとか、除籍なら党費を払わなかったとか、除名なら重大な刑事犯罪を行って逮捕されたといった場合がほとんどではないだろうか。

だから離党して党と無関係になったといっても、政策的批判はしても、組織を批判をすることはあまりない。除籍、除名も、まぁ世間の一般常識レベルで考えると正当だろうと納得できるものだろう。こちらもあまり元の古巣を悪く言う人はみない。

共産党は違う。党を離れてから溜まったものを吐き出そうとするかのごとく、冗舌になる人が多い。なぜそうなるのだろう?これは、おそらく党員には理解しがたいことだろう。党外から見ると、理由は簡単だ。
共産党幹部が、やってはいけないことを正当化しつづけてきたからだ。

やってはいけないこと。それは党員の信頼を裏切ることだ。選挙で敗けるのも裏切りだが、それは心底懸命にやっているなら許容もされよう。しかし、キンピー問題、あるいは当blogでこれまで紹介してきた共産党関係の告発系サイトを見れば、彼らの動機の多くが党からの不当な弾圧にあるのは一目瞭然だ。

そうした弾圧の成果は、党のイメージダウンとして現れる。同時に、結集すべきときに結集しようとする者に二の足を踏ませる。

例を挙げよう、昨年始め頃から(株)フォレストコンサルタンツという会社の山根治氏のサイトを取り上げてみよう。

サイトを読んでいくと、彼は投資ジャーナル事件時の中江茂樹の会社の顧問税理士であった人物で、中江氏のために闘い抜いた人らしい。後に税務署と検察の報復らしき告発をされ、有罪とされたが無実を訴えている。

そんな人が会計知識(彼は公認会計士でもある)を活かして昨年3月からライブドアの決算にたいする疑惑を唱えて、ライブドア事件で脚光を浴びた。

しかし、彼はマスコミなどの誘いにほとんど乗っていない。理由は投資ジャーナル事件、そして自身に行われた告発に対するマスメディアの対応に我慢ならなかったからである。

あやまちを大増幅して世間に広めて謝罪せぬマスコミ。そんな奴らの手先になってたまるか……といったところだろう。

当blogは、ここに共産党と元党員の構図を見る。マスメディアにせよ、政務署にせよ、検察にせよ、基本的には社会正義にかかわる仕事をしている。彼ら自身、そうしたプライドも人一倍持っているだろう。

しかし、過ちは認めない。松本サリン事件のような世間的に注目の高い事件で過ちを犯した場合は、社会的圧力があるから謝る。しかし、社会的に注目度が低かったりすると、だんまりを決め込む。

そうした態度は、共産党員に向けられたこともあるだろう。悔し涙にくれた共産党員も少なからずいただろう。そこで党員に考えてもらいたいことがある。彼らも、自分たちは正義だと誇りに思っているんだということだ。

自分が正義だと思うのはかまわない。大いに誇っていい。ただし、誇るためには相応の行動が求められる。トラブルが発生したとき、たかが組織の地位が上だからといって意見を押しつけようとする。自分に都合が悪いと卑怯な手を使うことも平気。そんな者が正義を語っても、騙っていると思われるだけだ。

山根氏にしても、元党員にしても、普通の社会的常識レベルの対応があってのことなら、あんなことは書かないだろう。それを書いているのは、相手があやまちを認めず、いまだに尊大なままだからだ。

自分はそんなことやっていない?OK、じゃ、他の党員がやっているのを見たらどうか、聞いたらどうか?そこで行動しないなら、同じ穴のムジナと見られてもしょうがなかろう。加えて言う。声をあげない者は、党の信頼を毀損する事態を黙認し、毀損に加担しているということだ。

自分たちの党一つまともに改革できない者に、自民党を倒せるのか?素晴らしい綱領?明日を切り開く党大会決定?そんなものより、党の信頼回復を優先せよ。

「もういいだろう。党は変った……」
古巣のことを悪く言う人が、そう思って何の強制もされずに自発的にサイトを閉じる。そんな時代が来なければ、共産党は永遠に今のままであろう……いや、先細りのままであろう。