クリスマスなので、民青同盟の記事を探していると、昨年こんなのがあったた。全国青年大集会とは、民青同盟の企画である。

クリスマス関連だと、最後の方のこの記述

 「職場の不満 かえたい思い交流会」では六十人を超える参加者が、現状や思いを出し合いました。

 ケーキ屋で働いていた大阪の女性は「クリスマスの時期はすごく大変。深夜二時から三時まで働いていた。店からは『帰らない方が悪い。早くつくって から帰れ』と言われていた」と報告。女性は「お客さんに喜んでもらいたいのに、そんな状態ではスポンジはボサボサになり、いい商品はつくれなかった。最後 は病気になって仕事を辞めることになった」と話しました。

病気になって仕事を辞めるようになったのは気の毒だが、ちよっとこれ、ウソがあるな……。

洋菓子、特に生ケーキを扱っているお店にとって、クリスマスが大のかき入れ時であることは明白だ。店によっても違うが、クリスマスケーキだけで年間売上の1割に達してしまう店もある。ある程度の裏付けはもってのあてずっぽうだが、一日で10日分売り上げるのが普通くらいだろうか。

そんなわけだから、ふだんの従業員数で前日に作るなんてできない。かといって、熟練が必要なデコレーションを、素人のアルバイトで間に合わせることは不可能だ。社員だけで間に合わせるしか、ふつう手がない。

だから早いところだと3ヶ月前から準備にかかる。最初にやるのはスポンジを焼いてためておくこと。もちろん常温で3ヶ月も置けないから冷凍してためておく。

そして数日前からデコレーションに入る。この時は、大企業だろうがパパママストアであろうが、どこも戦場である。現在の冷凍冷蔵技術では、生クリームをデコレーションした状態で長期保存はできないのだ。

そのため、この記事に出ている女性の健康状態にかかわらず、スポンジはボサボサになりがちなのは、この世界の者なら誰でも知っている常識である。

もっとも、昔よりもだいぶ改善されているのは、シャトレーゼの味の向上を見れば明らかだが……。

ま、それはともかく、洋菓子店(製造もやっているとこね)で働きたければ、クリスマス地獄に耐えられない者は、和菓子部門(あればの話だが)に移るか、製造をしない店(シャトレーゼなど大手が典型)に移るか、他の仕事を探すしかない。

すなわち、夢を見るのは勝手だが、少なくとも洋菓子の世界で生きたければ、クリスマス地獄に耐え抜く体力が必要なのだ。

宮本たけし先生が、キンピー問題の解決に力を貸して、党中央のポチでないところを見せなければ、共産党ウオッチャーの失笑に耐えなければならないように……。