今回の選挙で改めて問わなければならない争点がもう一つあります。自衛隊のイラクからの撤退問題がそうであります。

イラクへの自衛隊派遣が12月中旬で期限を迎えることに関連し、民主党は12月に撤退を表明し、共産・社民は即時撤退を要求しております。小泉自民党はす でにアメリカから非公式に駐留延長を打診されていましたが、イラク移行政府から派遣延長の要請があったこともあって、少なくとも12月に自衛隊を撤退する ことは無いと見られております。

そもそも海外での活動に制約が多い自衛隊が、なぜいまだに戦闘が続くイラクに居なくてはならないかと申しますと、それはアメリカの価値観や正義というもを支持する国が必要であり、しかも多くの国がこの戦争に参加したという実績がアメリカにとって必要だからであります。
この戦争はアメリカの価値観の押し付けでありますが、実はアメリカ自身も自分達の価値観に疑問をもっているのではないかと思われます。なぜなら自分達の価 値観を本当に信じているのであれば、イラク一国をやっつけるのに仲間を集う必要は無いわけで、日本はそんな不確かな価値観に付き合う必要は無いと思うので すが、小泉さんには自衛隊をイラクへ行かせることが国益だとして、撤退させる考えは今のところ無いようであります。

しかし「確かな価値観」なら良いというわけでもありませんで、戦前の日本は「確かな価値観」を振りかざして皇民化を進めていきまいたが、その結果は孤立と 各国からの反発でありました。確かであろうが不確かであろうが、一つの価値観を押し付けていくことが問題なのだろうと思います。

乱暴なまとめ方をしますと、寄せ集めの自公政権と、同じく寄せ集めの民主党がアメリカ型と同質でで、絶対的な真理を掲げる共産党が旧日本軍と同質というこ とになります。選挙も本番に突入しましたが、イラク派兵問題といった憲法に関わってくる問題は、往々にして価値観の違いを理由に議論が深まらないことが多 いようですが、今回の選挙ではイラク派兵問題も問われているわけですから、各政党には何が問題で何が国益なのかを分かりやすく国民に示す責任があるはずで あります。

罵詈総論でした。