先日のことでありますが、衆議院でろくな審議もせずに、与党の賛成多数で障害者自律支援法案が可決されました。この法案の問題点を一言で言えば、受益者の負担増であります。

日本障害者協議会はこの法案の成立に猛反発しております。応益負担という考え方は、障害者政策の今後に根本的な転換を迫るものであって、利用者の直接的な負担増にとどまらず、各種事業の公費水準にも重大な影響を及ぼすことが懸念されます。また、障害者にとって必要な政策が、曖昧になったままだからです。

NPOはこの法案が成立すると日本の障害者政策が30年前に逆戻りすると警告しておりますし、徳島県保険医協会では、さっそく見直しを要求しており、この法案が問題の多い法案であることがうかがえます。

私もこの法案には反対でありますし、わが日本共産党もこの法案にはとうぜん反対しておりますが、与党との政策の違いを簡単に申しますと、共産党は際限の無い負担減であり、与党は乱暴な負担増ということになります。

支援するということは、重度の障害をもった人が、どうすれば人間らしい人生をまっとう出来るかという問題であり、重度の障害でない人が、どうすれば自分たちの可能性を開けることが出来るかという問題であります。なにも共産党がいつも言っている「予算を福祉に持ってくれば良い」というだけの問題ではなりません。

常に守られている存在、守らなければいけないと思われている障害者。それが彼らの自尊心を傷つけているとは思わないのでしょうか。そういうことではなく、一人の人間として接して欲しいと思っている障害者はたくさんおります。共産党に支持が今ひとつ集まらないのは、自分達が想定した『「可哀想な障害者」に、施しを与えてやる正義の味方』。そういうストーリーが胡散臭く思われているということであります。

「施しはたやすい。施しを不要にするほうがはるかに困難である」は資本の豚ヘンリー・フォードの戯言でありますが、同時にフォードは、寝たきりを含む多数の障害者を雇用し、しかも健常者と同額の給料を払った経営者でもあります。豚は、いやらしくも「進歩している会社は、身体弱者にも通常の社会人より高いレベルの賃金を払える」と主張し、職場を工夫すれば障害者にも高い生産性を上げられることを証明し、障害者でもフォード自動車会社の高い給与が取れることを自らやってみせたのでした。

豚よりはるかに優れているであろう真理の体現者たる共産党幹部様には、障害者の皆さんが誇りを持って人生をまっとうできる政策を考えてもらいたいものです。

罵詈争論でした。