4月23日はサンジョルディの日。

 日本書店組合連合会、日本カタロニア友好親善協会などが1986年に制定。「女性は愛する男性に本を、男性は愛する女性にバラの花を贈りましょう」としている。

 「サンジョルディの日」の仕掛け人は、楽天市場「占いの玉手箱」を主宰する占い師・竹村亞希子氏。バルセロナを中心にしたカタルーニャの行事を、「本のバレンタインデー」として日本にも広めようとしたものだったという。たった一人で「日本カタロニア友好親善協会」を設立して、カタルーニャ州と交渉を開始したり、遊び心と行動力にあふれたチャーミングな女性である。バルセロナが五輪開催地に決定するかどうか占い、「決まる」という卦を得ていたというのが、何ともおもしろい。

▽「本屋さんへ行こう」(日本書店商業組合連合会)
http://www.shoten.co.jp/

▽「サンジョルディの日」仕掛け顛末記〜占い師が思いついた夢のイベント
http://plaza.rakuten.co.jp/anotamatebako
 この日のカタルーニャでは、街なかに多くの花や本の市が立つ。愛し合う男女が、愛と知性、美と教養のシンボルとして、薔薇と本を贈るのが、慣わしである。男性は女性に花を、女性は男性に本を贈るのが一般的で、家族や友達の間でもプレゼントが交わされる。

 伝説の騎士サン・ジョルディは、カタルーニャの守護聖人。この日の祝祭は、カタルーニャ人のアイデンティティと深い関わりがある。

 かつてその国には地を駆け、空を飛び、海を泳ぎ、一息で森や作物を焼き尽くす獰猛な恐ろしいドラゴンが人々を苦しめていた。人々は怪物の怒りをしずめるために、毎日1人づつ生け贄を捧げていた。

 ついに王女がドラゴンの生け贄になる順番がまわってきた。王女が餌食になろうとしたその時、白馬に跨がり、黄金に輝く甲冑をまとった一人の若い騎士が姿を現した。この若い騎士こそが、王女を救うために起ちあがった騎士サン・ジョルディだった。

 激しい戦いのなか、ついに騎士の手にした正義の槍が、ドラゴンの心臓を貫いた。溢れ出したドラゴンの血のなかから美しい薔薇が咲き、騎士は、その中でも最も美しい薔薇を手折り、永遠の愛のシンボルとして王女に捧げたのだった。獰猛なドラゴンを撃ち果たしたサン・ジョルディの伝説は、自治や言語を禁止した専制支配と闘ってきたカタルーニャ人の民族意識や独立心を支えてきたのである。

▽カタルーニャ
http://www.asahi-net.or.jp/~yv9t-brun/catalunya.html

▽関西カタルーニャセンター
http://home.att.ne.jp/banana/cck/home-cck.html

 日本での「サンジョルディの日」の実績が評価され、1995年11月、パリで開催されたユネスコ総会は、この日を「世界 本と著作権の日」として定めた。奇しくもこの日は、セルヴァンテス、シェークスピア、そしてインカ・ガルシラソ・デ・ラ・ヴェガが没した日である。

 『ドン・キホーテ』の作者セルヴァンテスと、シェークスピアについては、特にこの暦で紹介するまでもないだろう。インカ・ガルシラソ・デ・ラ・ヴェガ(Inca Garcilaso de la Vega 1539−1616)は、ペルー出身の年代記作者。同名の詩人の家系のコンキスタドール(征服者)とインカの王女との間に、クスコに生まれた。 1560年にスペインに渡り、インディヘニスモ文学の先駆的作品『インカ皇統記』を著して、インカ文明をヨーロッパ社会と文化との対比において歴史的に叙述した。