チェ・ゲバラとキューバ革命
内藤陽介
えにし書房
2019-02-25


4000円ほどするが、間違いなく買いの本。
著者の内藤陽介氏は、国際的に知られる切手収集家だが、切手で語る多くのテーマの本を書いている。今回のテーマはチェ・ゲバラとキューバ革命だ。本当は昨年の生誕90周年に出される予定だったが、本のボリュームが膨大になりすぎて昨年中には出せなかったようだ。

彼の本は1冊読んでみると分かるが、ただのテーマ別切手紹介本ではなく、専門書に切手を絡めているといった方が正しい。


たとえば、これなんかタイトル通り岩のドーム切手がたくさん掲載されているのだけど、なぜこの国でこの時期にこの図柄で岩のドーム切手が発行されたのかを説明するには、バレスチナとイスラエル、そしてアラブ・イスラムの複雑きわまりない歴史を知っていなければならない。

そんなわけで切手を素材にしているが、実際に書かれているのは、岩のドームをテーマにした中東各国の国際関係を描いた本だと思っていい。実際読んでみると、イスラエルと言う共通の敵がいるのに、てんでバラバラな各国の動きが書いてある。「なるほどこれがアラブ世界なのか」と膨大な知識を駆使され、ねじ伏せられるのが読者の醍醐味という感じ。

そんな人がこんな分厚い(値段からの類推だが)のを書くと言うことは、半端なジャーナリストではとてもじゃないが到達できないところまでゲバラとキューバ革命について調べているはずだ。おそらくはこれに匹敵するはず。
カストロ 上
セルジュ ラフィ
原書房
2017-11-28


ということで、私も買う! 1人出版社から出ているから、欠品になると入手難が続く。買うなら確実に手に入る予約をしておくべし。