以下読者投稿

某月某日某所で政治的オフミーティング。メンバーの大多数は「私はこれで日本共産党をやめました／見限りました」という方々。年配の方々も多数いて、やっぱりこの方々の昔話は面白い。

　一九六〇年代、七〇年代に党に青春を賭けておられた方も何人かいる。その中で、『素描　一九六〇年代』に描かれた世界の一部を語る人がいた。

　当時、日本共産党の伸張は著しかった。革命政党として、将来、権力を握った時の準備もしていた。大規模経営、国家および行政に秘密党員を送り込んでいた。彼らの仲間でも、学業優秀な党員は、表の活動から消えていった。

　このオフミーティングに参加されていた方々は元公然活動家などで、表から消えていった党員との接点はなくなっていった。それでも、昔の知人であり、それなりにどこで何をしていたかは何年間かは聞こえてきていたとのこと。

　だが、段々とその情報がなくなり、消えていった側から、党への接触がなくなっていったらしい。気づけば、表の活動から消えていた人々は知事になっていたり、大企業の役員に名前を連ねていたりしていた。

　何でだろう、という話になったが、大企業のサラリーマンをやっている小生には、党への接触をなくしていった方々の気持ちや考えが凄く分かるのだった。元党員の方々に言ったのは以下のとおり。
「接触をなくしていった人の気持ちも考えも分かります。自分にも経験があるのですが、学生時代に左翼運動に多少なりともかかわっていれば、就職時にもその影響は受けているものですよね。その眼で最初は世の中を見ることになります。そうすると、一年経ち、二年経てば、共産党を含む左翼の理論が、慎ましく言っても多くの現実を説明できない、もっとはっきり言えば嘘であることが分かります。

現実は、左翼の人が言うほど単純じゃない。自分にも経験があるから断言しますけど、左翼の人にその現実を見たまま、感じたまま言ったところで、彼らは自分たちの理論にとって都合の良いところだけを受け入れるだけで、もっと大事で大きなことは、、、無視するんですよね。まず、そういう現実を見ないことで革命が出来るのか、と、疑問が湧くのです。

そして、左翼の言うことが馬鹿馬鹿しいというより、馬鹿そのものに感じられていくのです。そこで、左翼との付き合いがかなり時間の無駄に思えてきます。それと、仕事も段々と責任と時間を必要とするものが多くなり、そちらに注力すれば、自然と左翼関係との付き合いは薄れて行き、フェードアウトします。

　勿論、社会的関心そのものがなくなるわけがありません。だが、左翼以外の考えなんか勉強しだし、変に邪魔されないために左翼とは一線を画するようにします。こうして、皆様“卒共生”になられたのではないでしょうか。」

　ただ、卒共して１０年余り、最近は逆に左翼の価値も見えてきたように感じる。だが、いわゆる党派、死せる魂、氷付けで永遠に現実の火に触れない集団には二度と係わりたくはない。