某所から池澤夏樹氏と日本共産党の話題を提供いただいたのだが、どことなく牽強付会に思えて却下。でも情報提供者がそう思う理由はとってもよく理解できるので、池澤夏樹関連を探索していると吉川勇一氏のサイトを発見した。

でもって見ていくと池澤夏樹氏の本を評価する文章の中にこんなくだりが

『赤旗』の上の書物広告の訳者名のこと

ところで、以下は、書評でも紹介でもありません。蛇足だろうと思いますが……。

日本共産党の『赤旗』に載った広告のことについてです。11月22日に、大月書店の3ダン通しの大きな広告が出ていましたが、その中に、マックス・ヴェーバーの『ヒンドゥー教と仏教』の広告も大きく出ていました。訳者は、古在由重訳と出ていました。驚いたのは、その先頭に「唯物論哲学者・古在由重の"幻の名訳”をついに公刊!」とあったことでした。

さらに「唯物鎗者・古在由虚による『宗教社会学論集』第2巻の全訳。数十年ぶりに発見された本書は、訳者のヴエーバー解釈にもとづく独自の訳語。豊富な訳注を随所に含み、ヴェーバー研究に新たな波紋を起こすものとなっている。」という文もついていました。

最初は、別の訳者と思い、名前をもう一度確かめてみたのですが、間違いなくあの、古在由重さんです。最後には日本共産党と離れ、その方針に反対するようになっていた古在さんでしたが、そろそろ『赤旗』に名前は出てもよくなったのだな、と思ったのでした。確かに「除名」処分ではなかったと思いますが、古在由重さんがなくなられたときの『赤旗』の報道ぶりはひどい冷たいものでしたから。

思い出しましたが、ずいぶん以前ですが、私がバーチェットの『立ち上がる南部アフリカ』(上・下)を訳して、サイマル出版から刊行されることがありました。バーチェットはオーストラリア共産党のメンバーで、『赤旗』でもその書評欄にそれなりの長さの好著としての紹介文が載っていました。ただ、感心したのは、著書名、出版社名、定価代などは全部書いてあるのですが、その本の訳者の名が、どこにも書いていないのでした。共産党を除名された私の名前は、本の訳者であろうが、絶対に『赤旗』の上に名を載せてはいけない、ということなのだな、と、感銘したのでした。そんなことを思い出したのでした。どうでもいいことでしょうね。


いや、どうでもよくない。
ここ20年くらいの、ろくに“学習”しない民青なんかは知らない事だから、記録に残す価値はある。

日本共産党が、いかに後先考えず行動してきたか。優秀な人材を排除してきたかを