当blogほか、主に会計回りからボロンチョにいわれて軌道修正をはかりつつある日本共産党の内部留保論。小池晃タンの言い分からチェックをしてみる。

私たちは、労働者派遣法改正や最低賃金制度の改善、下請け取引の適正化などによって、大企業に雇用と中小企業への社会的責任を果たさせるルールを確立することを求めたのです。そのことによって、結果として内部留保が社会に還元されるようにしようというのであって、課税によって「無理やり内部留保を吐き出させる」ということは考えていません。

というのが小池=日本共産党の主張、ま、それはいい。

英紙「フィナンシャル・タイムズ」(1月13日)は、「なぜ日本経済が世界規模のショックにこれほどまでに脆弱(ぜいじゃく)だったのか」と問いかけ、「企業が過剰な内部留保」を蓄積したことが、日本経済の“基本的な構造問題”の一つだと指摘しています。そして、内需主導の成長のために、「企業貯蓄の大規模な削減」が重要だとしています。

共産党が内部留保の活用を主張するのはなぜかというと、企業内に過剰に蓄積されたままでは内需主導の経済発展につながらず、それが日本経済を弱くし、大企業自身の将来にとってもマイナスだと考えるからにほかなりません


引用されているファイナンシャルタイムズの記事を翻訳しているページがあったので、これをもとに引用すると、同記事は政府債務と国債の発行残高が増えたのを民間部門で発生した倹約のパラドクスを、なんとかしようと政府が金を使って資金需要を引き受けたとするリチャード・クー氏の説に対し
私自身は、追いつけ追い越せの高度成長が終わった後に、企業による過剰な内部留保と投資機会の減少が組み合わさったことが、構造上の根本的問題になったのだと思う。

と反論する文脈で書かれている。そして処方せんとして「企業貯蓄の大幅削減」を提唱し、その結果として内部留保は減るだろうとしている。

この考えは、日本で優良企業とされる会社には抵抗のある考えだ。日本企業にとって「優良」の基準の一つは「無借金経営」である。すなわち経営指標で言えば自己資本比率100パーセント。ところがこれ、金融面で言うと「アホかお前!」とされる。

どういうことか?ここにとても儲かっているbusayo社があるとする。busayo社の社長busayo_dicは貧乏で育ったので貯金があるほど安全だと思っている。だから貸借対照表の流動比率(短期の収入/短期支出)が300パーセントくらいあってもいつか600パーセント、最後には銀行などからの借金ゼロにするが理想だと思っている。

そこにどこかの金融コンサルタントがやって来た、busayo_dicはコンサルタントに「うちは儲かっているでしょう。安全性が高いでしょう」と自慢するとコンサルタントはこういうのだ。「アフォw」

「そんなにカネがあるなら、どうしてもっと投資しないんだ。今の事業をもっと大きくしたり新規事業をするとかどうして考えないんだ!」

「そんなことしたら貯金が減りますけど」

「減っていいんだよ!銀行や株屋は儲かっているトコにカネ持ってくるんだから。もっとカネを効率的に働かせろよボケ!

「うちは優良企業だし、もっと優良企業になりたいんです。事業が傾いたときも耐える余力が大きくなりますし」

「おめーのやり方は優良企業のやり方じゃない。儲かってたら投資して、もっと儲けた方が安全だろ?オメーのやり方は資本効率を全く考えていないアホのやり方なんだ!」

簡単に言うとこういう論理なのだ。赤旗のかつて言ってた雇用確保に使えではなく、もっと資本の論理に忠実になれと言うこと。その結果として雇用は増えることもあるけどね。

ところが問題は、今の国内で既存事業の拡大をやっても儲かりそうもないことと、新規事業の種がなかなか見つからない。

だから根本的な解決は企業がこれなら投資をしたいと思える国内市場を作りだすことでしかあり得ない。儲けのタネにもならない日本共産党の考えなど実行しようものなら、今度は日本政府こそがファイナンシャルタイムズから「アホかお前!」と言われるのだ。

言ってることは似ていても、根本思想は全く違うのである。にもかかわらずファイナンシャルタイムズが日本共産党と似たようなこと言っていますと宣伝しようとするのは、みのもんたを談合禁止キャンペーンキャラに起用するようなものなのだがw

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