リエンジニアリング革命―企業を根本から変える業務革新 (日経ビジネス人文庫)陽子氏の8の投稿に触発されて、プレカリアート氏について書いてみる。この方は、もとともいずみ市民生協（←ここ重要）にいて、いわゆるいずみ生協事件を内部で見てきた人。それで
この事件から私が学んだ事は、資本の論理に安直に身を委ね時流に阿るだけの「右」転落でも、「左」の言う事には何でも付き従う盲従でもなく、自分の頭でモノを考える事の重要性です。これが拙ブログの原点でもあります。
とのこと。simanto114や嶋のようなアホとは、ちょっと素材が違う。そして現在彼のおかれている状況は、いわゆるワーキングプアなのだが、自分の状況を語る文章を見ていると、この人決して頭は悪くないなという印象も持つ。
実は似たようなタイプの人をネタにしたこともあって、それは×第二迷信氏なのだけど、この人も基本的に頭は悪くない。しかし、どこか変な部分がある。で。何で彼らはああなんだろう？という疑問が湧いてきて、ちょっと考えてみたくなった。
まぁ、彼の論理からすると、ぼくちんなど完全な右転落組（というか、そもそも左翼でもないのだがw）に見えるのだろうが、彼とぼくちんの決定的な違いはわかった。それは「自分ならどうするのか？」という視点が全くないこと。
彼の目に映った動乱期のいずみ生協の内部を読むと、それがよくわかる。彼が入協したのはおそらく80年代前半。で、彼の言ういずみ生協の雰囲気が「牧歌的」から変質したとする80年代半ばとは、生協運動が壁にぶち当たった時期でもあった。生協運動のイデオロギーが古くなってきて、カネ儲けに走っているはずの民間小売業の方が顧客から支持されるようになってきた。
その壁を打開しようとする最初の、目に見える試みは、1989年コープ神戸が作った、生協としては新業態店舗となる「Seer」であった。当時、なんで生協がこんなしゃれた（左翼的に言えばプチブル）店舗を造るんだよなんて陰口をたたかれたりもした。しかし、それは必然の流れであった。
生協の世界のトップを走っていたコープ神戸が、なぜトッブだったのかを説明するとわかりやすいだろう。灘神戸生協は歴史も古いが、同時にスーパーの勃興期、民間企業と最も熾烈な競争をやってきた生協である。競争相手は言うまでもない。中内功率いる、ダイエーである。ダイエーが強くなった理由として、灘神戸の存在を指摘されるくらいだからね。
そして灘神戸の商圏は、名前からも分かるように兵庫県の消費文化をリードする高級住宅地が多かった。ダイエーとの競争で鍛えられた経営力と、小売業としては一番おいしい顧客。その二つを兼ね備えることができたからコープ神戸は生協運動のトップに立てたのだ。
なわけでコープ神戸は、このころから生協運動の枠組みをある程度は守りつつ、そして左翼的イデオロギーを捨てつつ、一般小売業化へのシフトを始めた。今では、ゆりかごから墓場まで生協だけで済ませることも可能だ。
これに対し、他の生協は経営を鍛え上げる競争相手もいなければ、優良顧客の少ない地域を地盤としていたりしていたところに、壁にぶつかったのである。
そうしたマクロの状況下、いずみ生協事件は起こった。彼の書いていることを読んで行くと、どうも内部告発側はいずみを大阪のコープ神戸のようにしたかったのではないかと思える。コープ神戸ではないとしても、より顧客から支持される生協を目指していたと言って間違いはなかろう……でないと売上は悪くなるし自分たちの給料も出ない。
そうした時の障害となるのは、いわゆる「古い頭」の経営幹部だ。そうした幹部を「古い」からといって排除はできない。排除するのに一番やりやすいのは、不祥事を暴くこと。しかし、左翼の砦のように生協を捉えていた人には、そうした行為は「裏切り」に見えたろう。それまで生協に入協する人は、民青など左翼思想の持ち主が多かった。彼もそうした一人であったのだろう。
ここからぼくちんと彼の根本的な違いが出てくる。
ぼくちんは、生協運動が壁にぶつかっていたということに気がついていた。彼は気がつかなかった。
ぼくちんは、壁にぶつかればどうすべきか考える。彼は気がついていないがゆえに全く考えていない。
ぼくちんは、まず顧客を優先する。彼の文章には「顧客」も「お客様」「組合員」も言及されていない。
彼の文章を引用しよう。
両者の和解・問題終息の後にやってきたのが、１９９８年からの小泉構造改革の新自由主義政策・労働規制緩和の波に乗っかった大リストラでした。今や現場の生協業務の大半は、正規職員ではなくアウトソーシング（外部委託）のパート・バイト・契約社員によって担われるようになりました。
壁にぶつかり、真のリストラクチャー（事業再構築）を行う能力や余力がなければ、そうなるのは必然だ。そもそも、生協は組合員のためにあり、生協に勤務する者のために存在しているのではない。そうした視点が彼の文章には全く欠落している。生協だろうが民間だろうが、顧客の要求に応じる店でなければ業績はよくならない。
本当なら、彼のような人間が生協の改革のために何ができるかと勉強し、現場で試行錯誤して生協を変える努力をすべきであった。生協版「県庁の星」の主人公をやるべきであった。そうなれば、いずみ生協事件のあとの正社員が減らされる状況にはならなかったのかもしれない。しかし、彼の発想は、あくまでサラリーマン、キツイ言い方をすれば社畜の発想で、経営者、あるいはイノベーター、リスクテイカーの発想は全くない。だから自分の前に、ひょっとしたら宝の山があることにも気がつかない。
現在、彼が行っている仕事の多くは、あちこちの会社の物流業務のようだ。今日は建設、明日は販売員なんて感じじゃない。ならば物流の「専門家」になろうと思わないのだろうか？いろんな会社のいろんな物流の実態なんて、普通の人には見えない。それが見える立場に彼はいる。ぼくちんだったら、できるかどうかは別として、このチャンスをどう活かすか絶対考えるし、活かすための努力をするね……
自分が物流の専門家になれば、それで会社をおこしてワーキングプアから脱出できるかも知れない。会社をおこして成功すれば、多くのワーキングプアに、自分は正社員として雇用を提供することができるかも知れない。会社をつくらなくても今の会社でがんばる仲間に、もっと良い待遇を提供できるかも知れない……そんな野心が欠落しているのが見ていて一番残念なのである。
ま、こんな発想する奴だから、日本共産党か゜キライなのだけど。
……久しぶりにマジになったら、疲れた。二、三日休むかも。
そうした時の障害となるのは、いわゆる「古い頭」の経営幹部だ。そうした幹部を「古い」からといって排除はできない。排除するのに一番やりやすいのは、不祥事を暴くこと。しかし、左翼の砦のように生協を捉えていた人には、そうした行為は「裏切り」に見えたろう。それまで生協に入協する人は、民青など左翼思想の持ち主が多かった。彼もそうした一人であったのだろう。
ここからぼくちんと彼の根本的な違いが出てくる。
ぼくちんは、生協運動が壁にぶつかっていたということに気がついていた。彼は気がつかなかった。
ぼくちんは、壁にぶつかればどうすべきか考える。彼は気がついていないがゆえに全く考えていない。
ぼくちんは、まず顧客を優先する。彼の文章には「顧客」も「お客様」「組合員」も言及されていない。
彼の文章を引用しよう。
両者の和解・問題終息の後にやってきたのが、１９９８年からの小泉構造改革の新自由主義政策・労働規制緩和の波に乗っかった大リストラでした。今や現場の生協業務の大半は、正規職員ではなくアウトソーシング（外部委託）のパート・バイト・契約社員によって担われるようになりました。
壁にぶつかり、真のリストラクチャー（事業再構築）を行う能力や余力がなければ、そうなるのは必然だ。そもそも、生協は組合員のためにあり、生協に勤務する者のために存在しているのではない。そうした視点が彼の文章には全く欠落している。生協だろうが民間だろうが、顧客の要求に応じる店でなければ業績はよくならない。
本当なら、彼のような人間が生協の改革のために何ができるかと勉強し、現場で試行錯誤して生協を変える努力をすべきであった。生協版「県庁の星」の主人公をやるべきであった。そうなれば、いずみ生協事件のあとの正社員が減らされる状況にはならなかったのかもしれない。しかし、彼の発想は、あくまでサラリーマン、キツイ言い方をすれば社畜の発想で、経営者、あるいはイノベーター、リスクテイカーの発想は全くない。だから自分の前に、ひょっとしたら宝の山があることにも気がつかない。
現在、彼が行っている仕事の多くは、あちこちの会社の物流業務のようだ。今日は建設、明日は販売員なんて感じじゃない。ならば物流の「専門家」になろうと思わないのだろうか？いろんな会社のいろんな物流の実態なんて、普通の人には見えない。それが見える立場に彼はいる。ぼくちんだったら、できるかどうかは別として、このチャンスをどう活かすか絶対考えるし、活かすための努力をするね……
自分が物流の専門家になれば、それで会社をおこしてワーキングプアから脱出できるかも知れない。会社をおこして成功すれば、多くのワーキングプアに、自分は正社員として雇用を提供することができるかも知れない。会社をつくらなくても今の会社でがんばる仲間に、もっと良い待遇を提供できるかも知れない……そんな野心が欠落しているのが見ていて一番残念なのである。
ま、こんな発想する奴だから、日本共産党か゜キライなのだけど。
……久しぶりにマジになったら、疲れた。二、三日休むかも。
