静岡高教組(全教系・一橋派)のプログで 日本高等学校教職員組合中央執行委員会の声明を発見。

以下、保管用にコピーするが、ホント、自分たちが未履修を黙認していたことを棚に上げて、責任感のないことを……。



過熱する大学受験競争を今こそ見直そう
−高校必修「世界史」未履修問題について−(声明)
                        2006年10月26日
日本高等学校教職員組合中央執行委員会

(1)富山県立高校で必修科目である「世界史」が履修されていなかった問題に端を発して、全国でも同様なことが伝えられるなど、大学受験競争と高校教育課程のあり方が問われる事態になっています。「世界史」未履修となる不適切な教育課程が編成され、そのために多くの生徒の卒業認定に関わる問題が起きています。


(2)私たちはまず何よりも生徒たちが安心して学び、無事卒業できるよう関係者が万全の体制をとられることを願っています。同時に、何故このような事態を生み出したのかを明らかにし、同じことが繰り返されないようにする必要があると考えます。

(3)報道によると、「世界史」未履修の理由の多くに、「大学の受験科目を集中的に履修したいという生徒の要望」があるとされています。生徒の要望を重視することは大切であり、それは保護者の要求とも重なるものです。また、希望する大学に合格させたいという教職員の願いでもあります。しかし、それはあくまで基礎学力と進路選択の力を育てる高校教育の進路指導の中で生かされるべきことです。生徒や保護者の願いの底にはいつも全人的な教育への期待があることを見ておく必要があります。

(4)今回の事態の背景には、大学受験競争の過熱化があります。大学受験にシフトした「中高一貫校」、「スーパーサイエンス・ハイスクール」や大学進学を売りにする特区での株式会社立「中高一貫校」など政府・文科省による高校「多様化」再編、通学区の撤廃など高校入試選抜制度・方法の多様化・多元化による高校の格差づくりが進行することで大学受験競争を一層深刻にしています。このような教育政策の下で、受験準備のための土曜補習、土曜「授業」、ゼロ時間・7時間授業の蔓延が問題になってきました。その上、学校評価の導入とともに「有名国立大学へ○○人現役合格」というような数値目標が設定され、そのために教職員は身をすり減らすような状況がつくられてきています。生徒もまた個人の希望とは異なる数値目標に合わせた進路が強いられ、入学してもすぐに退学するということも起こっています。

(5)このように、教育行政主導の大学受験競争による高校教育の困難とゆがみが、学校評価と連動した数値目標により加速させられてきているのです。その上、政府・文科省は、教育基本法を変え、日本の教育を公然と競争と選別のための教育にし学校に本格的な格差づくりを持ち込もうとしています。今回の事態は、特殊なケースではなく、このような背景の下でつくりだされたものです。

(6)今回の問題で重要なことは、高校生にどのような力を育てるのかということです。日高教は、生徒の現実から出発し、根源的な学習要求に応えること、共通教養の基礎を大切にすること、生徒参加による学校づくりをすすめることなどを高校教育課程改革の視点としてあげてきました。これは、学校教育法第42条「高等学校教育の目標」と教育基本法第1条「教育の目的」を高校教育課程に生かすために検討してきたものです。

(7)日高教は、政府・文科省に対して、改めて教育基本法・学校教育法の教育目的・高校教育目標に反する施策を見直し、その理念を生かし、基礎的な共通教養と進路選択の力を育てられるような教職員増などの抜本的な教育条件整備をはかることを求めるものです。同時に、全国の高校教職員の皆さんに、この問題を契機に、大学受験競争の過熱問題を解決するための議論と教育基本法・学校教育法の教育目的・教育目標を実現する教育課程編成のあり方について旺盛な議論を呼びかけるものです。

 静岡県でも、20校・4306人が必修科目が未履修となっていると報じられています。高教組は報道機関の取材に対して答え、「非常に残念な事態だ。必修科目は生徒の見識を広げるために必要なものだ。学校全体が大学受験という目先の目標にとらわれ、教育目標が近視眼的になっていないか。」と批判しました。