マルクス経済学を知らないbusayo_dicのために、読者の方から、昨日の絶対地代論に関するご投稿をいただいたので掲載させていただく。ただ、たけし先生の解説については確認作業をしているヒマがないとの留保がつけられている。

以下読者投稿

商品価格Pは、投下資本Cと利潤mからなります。で、投下資本は固定資本cと変動資本vからなります。そこで、以下の有名な式が成り立ちます。

P=c+v+m

で、一般常識と違ってややこしいのは、固定資本と変動資本は、ブルジョア経済学で言うところの固定費、変動費とは違うところです。これは、理論では説明できない、信仰に属すると言っていい公理=労働価値説に由来します。あらゆる科学にはフェティッシュ(疑ってはならない領域)がある、というのが小生の考えですが、それはともかく、マルクス経済学においては、労働価値説がそれです。それでも、同時に疑い続ける精神が必要であることは、他の宗教と同じです。だが、宗教的だからといって、他者が簡単に否定してはならない意味があると思います。
で、労働価値説の場合は、労働力(労働者の持つ潜在的労働能力)が他の様々な資源からフェティッシュに区別されるべきなんですよね。それが、変動資本です。なぜ「変動資本」というかと言うと、他の資本(設備費、原材料費などのマルクス経済学で言う固定資本)と比較して、生産様式が変化すると、容易に過剰となり、減じることが出来る(変動させることが出来る)からだったと記憶します。

一方、資本家的な視点に立ちますと、一度雇った労働者は容易には解雇したり、給与を変動させたりすることは出来ず、設備費と同じく固定的な資本として見えてきます。また、原材料費、用役(電気などの生産量にほぼ比例して使用される補助費)は生産量で容易に変化するので、変動費と見なします。

マルクス経済学とブルジョア経済学の用語は、その世界観によって同一に見える用語でも変化します。


ついでに、マルクス経済学的な式などを。

搾取率e=m/v:これが大きいと、資本の有機的構成は高いとされます。今の一般的な大企業では、100%近く、トヨタなどの優良企業では400%を超えると聞いたことがあります。

G(手持ちのお金)→(資本にする)→C(=c+v)→W(商品)→(価格を付ける)→P(=c+v+m)→(市場で売れる)→G’(新たに得たお金)

コレは、一般に次のように書きます。

G―W―G’

循環をちょっとずらして、逆に見れば、こうなります。

W―G―W’


また、上のCを、「資本家に購入された商品」と見なして、とりあえずWとし、生産された商品をW’として、こう書くこともあります。

G−W…P…W′−G′

(Pの位置は前後します;少し意味合いが違うので。この式にあっては、
PはProdukt;生産物であり、価格(price)ではありません。)

この流れの基本的論理を説明したのが、資本論第一巻です。

読みやすいマルクス経済学の本として、二つほど挙げます。

知りたい聞きたい経済学Q&A」(労働者教育協会編;学習の友社)
現代経済学入門」(松石勝彦著;青木書店)

それから、最近売れている本の紹介。著者の苦闘が共感を呼びます。小生は読みかけですが。しりあがり寿氏のイラストも秀逸。資本論第一巻の(確か)第四章までですが。

『資本論』も読む」(宮沢章夫著;WAVE出版)