先日のことでありますが、何年ぶりかにに電車に乗ることがありました。最初は新鮮な気持ちで乗っていたのですが、しばらくして何やら不快な感情がこみ上げてきました。

それは私の斜め前に座っている二十歳前後の男性が、大きな声で喋っているからでありました。しかし、その男性は友人と乗り合わせて騒いでいたのではなく、一人で電車に乗っているようです。会話の相手は受話器の向こうであります。

言うまでもなく電車の中での携帯電話は禁止されておりますが、それはペースメーターをつけている人に悪影響を及ぼすという理由もありますが、「迷惑だ」ということが一番大きな理由であります。

電車内というのは公共の場の中でも、礼儀的な無関心の高い場所であります。エレベーターの中を想像してもらえれば分かると思いますが、礼儀的無関心が高くなれば、息苦しささえ感じるほどある種の緊張感があります。
そういう緊張感の中で、目の前にいる人が受話器の向こうという別世界とつながっていて、大きな声で独り言のように受話器に向かって喋る。そういう人を見ると、理屈抜きに嫌悪感を感じるようであります。

街中で共産党の演説を聞いて理屈抜きに嫌悪感を持つ人がいるようでありますが、共産党員は中央委員会の方針を受け入れることを求められていますので、方針と現実が違った場合、方針に現実を合わせようとする傾向があります。

共産党の演説に嫌悪感を感じるのは、目の前で演説している共産党の人が、自分達とつながっているのではなく、中央委員会という別世界とつながっていることを肌で感じているのかも知れません。

罵詈争論でした。