週に一度、赤旗のスポーツ欄にスポーツジャーナリスト永井洋一さんの「子どもとスポーツ」というコラムが掲載されます。永井さんのコラムはスポーツ現場で見受けられる「体罰」にスポットを当てているようで、今週は「忍耐力が足りない?」というタイトルのコラムが掲載されました。

理不尽な指導に何も言わないのは、「日本には一度、足を踏み入れたことから簡単に離れてはいけない」という価値観があり、指導方法に疑問を感じながらも辞めずにいる人が多いのは、辞めることを「自分の忍耐力が足りない」と考え、罪悪感を感じるからだと永井さんは指摘しています。
日本には精神を鍛えるためと言っては、まったく意味の無い「しごき」がまかり通ってきましたが、この問題を掘り下げていきますと、戦前の軍国主義にたどりつきます。当時は楽しむためのスポーツというものは影をひそめ、もっぱら「立派な兵隊さんを作るための体育の一環」として体と精神を鍛えるために利用されてまいりました。

スポーツ現場に理不尽な指導方法が最も流行ったのが、戦後すぐのことであります。引き上げてきた兵隊さんたちが大挙して学校スポーツに軍隊式のやり方を持ち込んだためでありますが、選手は監督や先輩には絶対服従であり、不満を口にする者には体罰を、辞めたいと口にした者には制裁を加え、辞めてしまった者には非国民的な扱いをしても良いのだという考え方を定着させてしまいました。

こういう精神論を全面に出したやり方は、カンフル剤的な即効性が得られるのですが長続きはしません。それにカンフル剤は飲み続けると効き目が無くなったり、カンフル剤が無ければ最低限のことも出来なくなったりします。まるで薬物中毒さながらであります。

さらに悪いことに、選手達が上達するために自分でプランを立てたり、試合の中で判断する能力が養われないといった弊害、指示をされなければ動けないという弊害があり、中長期的に見れば軍隊式のやり方を中心に据えるのは間違ったやり方だといえます。

コラムでも触れられていましたが、最近では指導者の質を問う声が高まっております。サッカーなどは指導者を免許制にしており、さらにランク分けし、一定の知識と経験をもった者が指導するシステムを採用しております。その成果はサッカーの日本代表が世界ランキングでも上位に定着しつつあることを見れば、一目瞭然であります。

日本にはいまだに軍隊式のやり方を中心にしているところがありますが、カンフル剤の効き目はとっくに切れていることに、早く気づくべきであります。

罵詈争論でした。