国政選挙並の意義を持つと位置付けた東京都議選が終わりましたが、共産党関係の紙面では、いまだに恨み節が続いております。誰に対してかと申しますと、いわゆる商業マスコミに対してであります。

石原都政というのはいろいろ問題を抱えているようで、そのことは共産党に言われなくとも、多くの人は商業マスコミを通じて知っているわけであります。たとえば、アジアの国々に無用な対立を仕掛ける石原都知事、君が代日の丸の強制、都議の海外豪華視察や浜渦副知事の問題などであります。

いろいろな問題の中で共産党が最も問題にしているのは、二大政党化をマスコミがけし掛けているという問題であります。そして今回の選挙結果は商業マスコミが意図した通りだと、あたかもマスコミが裏で糸を引いているかのような論調が目立ちます。
共産党寄りの大学教授などは、商業マスコミの目的は、政策の対立軸を持たない、ふたつの大きな政党によって、政治に安定をもたらすことで、そうであるなら大政翼賛会こそが最も望ましい政治のあり方になる。もし「二大政党制」賛美の真意がそうであるならば、それは真の政治革新を阻もうとする巧妙な論法であると批判しております。共産党にいわせればマスコミはマスコミとしての役割を果たしていないということでしょう。

はたしてそうなのでしょうか。社会党(現社民党)が土井党首の時代、大躍進した時があります。土井党首の「山が動いた」発言は、流行語になりました。この時は、社会党が自民党から政権を取りかねない勢いがあったから大々的にに報道されたのです。この時もマスコミは糸を引いていたのでしょうか。

今回の二大政党化の流れは経世会の分裂から始っております。また安定した政権交代を望んでいるのは、自民党のスポンサーだった財界であります。二大政党化が形になったのは民主党が立ち上がってからでありまして、単独政党として、ようやく自民党を脅かす存在が出来たわけであります。それもマスコミが裏で糸を引いたとでも言うのでしょうか。

そして今、国民の多くが閉塞感の中にあり、何かを変えたいと思っております。福祉の問題も大切でありますが、政・官・業の癒着を止めさせることも大切であります。そこで民主党が政権を取ることによって、癒着の構造が壊れるのではないかと期待するのは当然でありますし、風向きによっては政権に手が届く民主党を取り上げるのは、マスコミの役割であります。

この間、共産党はどのような戦略を持って闘ってきたというのでしょうか。マスコミが共産党に注目したこともありました。衆議院が小選挙区制になった時、共産党は健闘し、20議席以上を死守した時はどうだったでしょう。小選挙区によって共産党は大幅に議席を減らすはずでした。マスコミはどこも共産党があれだけ粘るとは思いませんでした。だからその後しばらく、共産党はマスコミ注目の的であったではありませんか。そのチャンスを活かせなかったのは、マスコミのせいなのでしょうか。

自分達に役割があると考えるのであれば、政権奪取の戦略を立てるのは政党の努めであります。それが結果に表れていないのは、戦略を立てた人たちの責任ではないでしょうか。どうも共産党の恨み節は、幹部批判を避ける目的ではないかと思えてなりません。マスコミがイヤでも注目する、政権に手が届く政党を作れば、だれも幹部を批判したりしません。実績ほど、雄弁なものはないからです。

罵詈争論でした。