1972年5月15日、沖縄本土復帰。

 「米軍再編行方混沌」ときょうの沖縄タイムスは伝えている。

 「沖縄県は15日、本土復帰して33年を迎えた。在日米軍専用施設の約75%が集中する実態は変わらず、戦後60年を迎える今なお、基地から派生する事件・事故も絶えない。県は年内にも結論が出る米軍再編で負担軽減に期待するが、再編の行方は混沌としている。一方、復帰後、社会資本の整備は着々と進んだものの、県民所得は全国最下位、失業率は全国2倍で推移、財政依存度も高く、「自立的発展」に向けた模索が続いている。」

 日本政府とアメリカ政府が結んだ「沖縄返還協定」は、1972年5月15日午前0時をもって発効した。
 しかしこの沖縄返還協定は、太平洋の要石(キーストーン)としての米軍基地の存在をそのままに、核兵器の存在を事実上許したまま、沖縄の住民の願いを無視した「復帰」にすぎなかった。

 現在、沖縄には米太平洋空軍のキーストーンである嘉手納基地に加えて、海兵隊、陸軍特殊部隊(グリーン・ベレー)などの地上戦闘部隊が、130万人余りの住民と隣り合わせに駐留している。在日米軍の基地が沖縄に75%集中しており、その面積は、全県の11.1%にもおよんでいる。

 このなしくずし的な「本土復帰」ほど、「日本とアメリカ」「本土と沖縄」のねじれた関係を物語るものはないだろう。沖縄では、米軍基地の整理縮小を求める世論にもかかわらず、基地返還が進まないのか。それは「条件つき返還」が日米両政府の合意となっているためである。

 1995年の米兵による少女レイプ事件は、沖縄住民の抗議闘争は、復帰以来最大の闘争に発展する。1996年、日米両政府は普天間飛行場の返還を決定するが、しかしこの返還合意も「危機への緊急対処措置」以外の何物でもなかった。そのことは、移設先も正式に決まらない段階で返還を公表したことに、端的に示されている。

 そしてこの返還も、「県内移設」と「機能維持」が大前提になっているということだ。沖縄県と名護市は、いくつかの条件をつけて辺野古への代替施設建設に同意した。「軍民共用」「15年の使用期限設定」「環境への配慮」「地域振興策」などがその条件である。しかし、日本政府も15年の使用期限を閣議決定はしたが、アメリカには正式にはこの条件を出していない。これは問題を先送りして、当面の危機を乗り切るものでしかなかった。

 しかしヘリ墜落事件以後、普天間基地の辺野古移設に反対する人は県民の81%、賛成は6%か10%程度である。「辺野古移設賛成」の数字が「反対」を上回ったことは一度もない。

 日米安保は、表向きは、米軍が極東地域を安定させ、ひいては日本を守ることになっていると説明されてきた。しかし、その実態を見てみよう。米軍に日本を守る準備はできていない。現時点における在沖米軍の兵員数にして63%、施設面積にして75.6%を占めるのが米海兵隊である。

 この米海兵隊が、米兵犯罪や基地被害の中心であるというばかりでない。沖縄の米海兵隊は、極東地域における「戦略予備」として配備されてきた。極東地域に緊急事態が起きて米軍が介入するとき、この海兵隊が最初に投入されることになっている。つまり、海兵隊は沖縄や日本を防衛するために駐留しているのではないのだということである。

 さらに、ブッシュ政権以降のアメリカは、地球規模の世界支配戦略を「対テロ戦争」という形で展開している。世界全体を対象にして、「いつでも、どこでも、だれとでも」緊急展開できる能力をもつ軍隊へ変容しようとしている。米本土からの軍事的な緊急展開能力が高まれば、前線基地の軍事的なプレゼンスは低下する。今後、沖縄に常駐する米軍の規模縮小は避けられないだろう。

 現時点における沖縄の基地問題のもっとも効果的な解決策は、海兵隊を沖縄から撤退させることである。米海兵隊は伝統的にロビイ活動を通じて米国議会への影響力が強く、強い抵抗が予想される。しかし海兵隊削減が議論されているこの時期に、辺野古への基地移転は、将来に重大な禍根を残すことはまちがいない。

 問題の先送りはやめるべきである。在日米軍の存在、そして日米安保そのものを問い直さなくてはならないだろう。わが日本国家は、安保を軸として、米国の利益の最大化に貢献する政策を、いつまで続けるつもりなのか? インド洋に、イラクに、米軍支援の自衛隊をどうして派遣する必要があるのか? いま、沖縄に米軍を駐留させ、アメリカの軍事戦略に自衛隊を組み込む政策に、どんなメリットがあるというのか? ある主権国家のなかで、特定の地域への犠牲と過大な負担のもとでしか「安全保障」という重大な政策課題が達成されないのならば、そのような国家は、存在しないほうがましではないのか?

 「本土復帰」33年。「本土と沖縄」の関係を問い直すことは、「日本とアメリカ」の関係を問い直すことである。そして、新しい平和への闘争のプログラムも、沖縄から始まるだろう。


【参考文献】
『沖縄』 比嘉春潮・霜多正次・新里恵二(岩波新書)
『日米安保を考え直す』 我部政明(講談社新書)



【参考サイト】
▽沖縄タイムス
http://www.okinawatimes.co.jp/
▽岐路に立つ沖縄
http://okinawaforum.org/okiwiki/index.php?%B4%F4%CF%A9%A4%CB%CE%A9%A4%C4%B2%AD%C6%EC