1905年3月22日、イギリスが少年の炭鉱労働8時間制を実施する。

 1842年の平均寿命の比較調査によると、リヴァプールの労働者の平均寿命は15歳だった。同じリヴァプールの「知識層・地主」は、35歳だから半分以下である。

この年の晩秋、渡英してマンチェスターの商館に勤務したエンゲルスは、イギリス労働者階級の厳しい経済状態、政治的無権利を目の当たりにする。今も名著の誉れが高い『イギリスにおける労働者階級の状態』(1845)のエンゲルスの透徹した視線は、現代にも通用する。

 1873年の大不況の後、少年たちは荷物運び、ドアボーイ、使い走りなどの仕事をするようになった。20世紀の初めになっても、貧しい労働者家庭の子どもたちは義務教育の終了を待たずに、10歳前後で就職することも珍しくなかった。シャーロック・ホームズの小説に登場する、愛すべき「ベイカー街特務隊」も、ストリートチルドレンと化した少年たちだったのだろう。現在も世界では1億人の子どもたちが路上で暮らし働いているという。

 『ヴィクトリア時代の子ども』
 http://ecole.wanadoo.fr/college.saintebarbe/victoria/children.htm

 イギリスの炭鉱労働を描いた映画の古典として、『わが谷は緑なりき HOW GREEN WAS MY VALLEY』(1941年、監督ジョン・フォード)がある。19世紀末のイギリスのある炭坑を舞台に、一人の少年の目を通して描いた名作。